青年海外協力隊20-1ウガンダ薬剤師からのちょこっとウガンダ便り。


by yuki_nov14
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Just a pair of Gloves

薬局での仕事を終えて夕方病棟をうろうろしていた時のこと。

患者の付き添いの男性に声をかけられた。

「Maternity Wardに入院している女性の処置をしてもらいたいが、Nurseがいない。
Nurseがどこにいるか知っているか?」

おそらく患者さんのだんなさんかな。

患者さんを見てみると、帝王切開の手術後で、尿道カテーテルがずれているらしく尿が漏れていた。

患者さんも私が薬剤師であり処置ができないことは承知の様子で、処置をしてもらうための看護師を見つけてほしいとのことだった。

Maternity Wardにはスタッフが誰もいない。

当番のスタッフは別の帝王切開のため、手術室でオペを手伝っていた。

医療スタッフ不足が大問題のウガンダ。夕方5時から8時までを担当するEvening Nurseの割り当ては各病棟一人。
その一人が緊急帝王切開で手術室に入ってしまうと、残りのMaternity Wardのケアをするスタッフは当然いなくなる。

当然のことながら薬剤師である私には処置はできず、ただ無力。

たまらず、隣のFemale WardのNurseに声をかける。「カテーテルがうまく入らず尿が漏れてるから助けてあげて。」
自分にできることはただそれだけ。

しばらくたってもFemale WardのNurseが処置せずにいるので、まただんなさんに声をかけられる。
「あなたが言うときっとNurseが働いてくれるからもう一度言ってくれないか」と。

もう一度Female WardのNurseに声をかけて帰ってきた言葉。

「There are no gloves」グローブがないから処置できない、と。

だんなさんが「グローブを買ってきたら処置してくれるか?」と聞くと、

「自分はFemale Wardのスタッフで、Maternity Wardのことに関与するともし問題が起こったときに責められるから
 Maternity Wardののスタッフが手術室から帰ってくるまで待って」とNurse。

確かに日本でも、自分の病棟以外のことには手を出さないという暗黙のルールがある。

カテーテルから尿が漏れているからってすぐに容体が急変するわけではなく、帝王切開も40分もあれば終わるはずだから、
Female WardのNurseの言い分もよくわかる。

そんなやり取りの後、やっぱり自分には何もすることができず、ただその場を立ち去ることしかできなかった。

なんて無力な自分。

もし、すぐ手袋が手に入る状況だったら、Nurseは動いてくれただろうか。
きっと動いてくれたと信じたい。

たった1組の手袋がなかっただけで、患者さんはそのまま放置されてしまった。

ウガンダでは病院の予算だけでは十分な薬剤も医療材料も買うことができずに、患者が自己負担で買わなければならない状況が多々ある。
極端に言えば、お金持ちの人は救われるけど、お金がない人はただ病院で寝ているだけという状況。
医療が無料であるとは言っても、万人に平等な医療が施すことができないでいる。

いつも薬局で忙しく薬を払いだしているけど、たまに病棟の現実を目の当たりにするとき、
自分の存在に果して意義があるのか、少し落ちこむ。

そんな出来事だった。
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by yuki_nov14 | 2009-12-05 00:48 | Work